あままこのブログ

役に立たないことだけを書く。

世界を揺り動かさなかった一日間

僕が寝て起きて電車乗って東京行って変なところで飲んでいる間に、世間では「アイドル」さんに惚れたはれたの話題が噴出しちゃったようで。
まあ、でももうアイドルのそんな話程度は、普通に「聞かなかった振りをする」、もしくは「わざと大げさに驚いたり憤ったりして『祭り』をするけど、その後はさっぱり忘れてしまう」というのが人々の作法見たく、まぁもちろんショックを受けたりしている人もいるのだけれど、でもそのショックの態度もそんなに重く見れないというか、例えば「死にたい」とか書いていてもどうせこんな調子

だろ?っていう感じで、まぁ、一昔前みたいに騒ぐこともないようだ。といっても僕は若いから、正直「アイドルはウンコしない」とかそういう幻想がネタでなくベタにあった時代というのは、伝聞でしか聞いたことがなく、そして聞いても想像はできないのだけれど。
そして、それ自体は、多分良いことなのだろう。いや、良いことであるべきだ。アイドルだろうがなんだろうが、相手は一人の生身の女の子なのだから*1、自由に人を好きになったり好かれたりして、愛を育む自由はあるべきだ。もしそういう人間の尊厳を象徴するかのような自由を制限した上にしか「アイドル」というものがありえないというのなら、アイドルなんて無くしてしまうべきだと、思う。恋愛以外のことにしたってそう。まず生身の人間として尊厳が保障され、そしてそれを尊重した上で、初めて職業役割の責務とか言うものは存在しうるというのは、アイドルだって変わらない。そこで例外は認められない。
そのような大前提を把握した上で、しかし思うことが、ひとつある。それは……
ではアイドルは、どうやったら「アイドル性」から逃れることが出来るのだろうか?
例えば、未成年で喫煙なんかをやって解雇されちゃったアイドルとかいたよね。いや、おにゃんこクラブとかの時代でなく最近の話。僕は、最初その子にシンパシーを持って、すごい擁護していた。年も同じぐらいだったしね。こんなので芸能界引退になるなんておかしい、散々使いまわしておいて、いざとなったらポイ捨てかよって、本気で憤ってた。
そして、そういう憤りを持っていた人は多かったみたいで、程なくしてそのアイドルは復活した。それは、上のような大前提に立つならば、よかったことである、はずなのだが……
だけど、彼女がロフトプラスワン(!)なんかでトークショーなんかやっている、とかいうニュースを聞くと、ついついさ、「本当にそれでよかったのかなぁ?」って思っちゃうわけよ。リベラリズムの大前提として、自分の意思決定は自分でするべきで、他人が「それは不幸だから」とか言って止めるべきではない。それは分かってる、分かってるはずなんだけど……
しかし一方で、もしそこでアイドルを辞めたとしても、彼女に待っているのは「元アイドル」というイメージなわけだ。だとしたら、結局あそこで引退していたって何にも変わらないわけでさ。どこに行っても、その○○という場所で、「○○のアイドル」的な扱いを受けるわけだ。
本当にプロの技術と経験が求められる、そんな職業なら、そういうことはないのかもしれない。でも、今時そんな職業がどこにある?どこも、そんな秀でた技術職なんか、経験者でない限り求めていない。もし再就職できたとして、そこで必要なのは、周囲に愛想を振りまきながら、適当に仕事をこなすということ。そして、そんなぬるい職業では、きっと「元アイドル」なんて肩書き到底消すことはできないでしょう。
いまやどんなスキャンダルでさえも「アイドル性」を消すことが出来ない。いや、そのようなスキャンダルさえも自らの養分とするように、「アイドル性」が進化したというべきか。恋愛しようが、飲酒しようが、路上で全裸になろうが、それをネタにして、「アイドル性」はさらに膨張していく。おおかたHey!*3で松ちゃんにいじられたりして(というか松ちゃん自体今は弄られる「アイドル」なのか)、「いやーそうなんですよー」なんて返すわけだ。その内、人殺してもほとぼりがさめればまた復帰できる時代が来るのではないだろうか。「いやー、人の体って本当に包丁で刺すと豆腐みたいなんですよねー」とか言って「わはははは」とか笑う客席、それを突っ込む浜ちゃん、意外と想像できてしまうのが怖い。

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

この漫画に登場してくるアイドル*2は、「違法な整形手術」が発覚し、そして美貌が失われたことや、過去の醜聞によってアイドルを「引退」する。そして、彼女はメキシコに行く訳だ。
でも今なら、それぐらいのスキャンダルでも、きっと芸能界はまだやっていける。救うシステムは既に一杯ある。そしてさらに、大衆も優しくなったのだ。少なくとも、どんなに批判されても、擁護する層が一定率は居るのだから。
しかし、それゆえに「メキシコ」はもはや、ない。すべて「完璧な計算で造られた街」なのだ、この世界は、もう、すでに。

完璧な計算で 造られた この街を
逃げ出したい 壊したい
真実は あるのかな 完璧な計算で
造られた楽園で ひとつだけ
うそじゃない 愛してる













「これは嘘つきのゲームなんだよ」

(あ、えーと最終的に何が言いたいかっていうと、最近ライアーゲームをオンデマンドで見たけど面白いねこれってことです。9話まで見て残りが楽しみ。しかしトダエリ棒だ……)

*1:テンプレ

*2:と言って良いのかは色々意見があるだろうけど