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あままこのブログ

役に立たないことだけを書く。

ゲーセンで出会った女の子は余命1年? ネット発の小説「ゲーセンで出会った不思議な子の話」が話題に


去年2012年の1月頃から、「ゲーセンで出会った不思議な子の話」とファンのあいだで呼ばれているWeb小説が、ネット上で話題になっています。今回は、既に書籍化も決定している、このネット発の物語について情報をまとめてみました。

「ゲーセンで出会った不思議な子の話」はどんな物語か?

「ゲーセンで出会った不思議な子の話」、通称「ゲーセン不思議少女」は、2ちゃんねるのニュース速報(VIP)板で、去年2012年1月15日から約3日間にわたって連載され、実に2スレッドを消費して完成した大部の物語です。
ゲーセンで出会った不思議な子の話:哲学ニュースnwk
そんなこの大長編の内容を一言で要約すれば、「ゲーセンで出会って付き合い始めた女の子が、卵巣がんで死んじゃった」というものです。そう聞くと、「好きな人が死んじゃったならそりゃ悲しくて当然なんじゃないの?」なんて思ってしまいますが、実はそこがミソ。冒頭で不思議少女は格主人公に格ゲーで負けるといきなり泣き出し、そして慰めに行った主人公に対して、イチコロにしてしまうようなブリっ子ぶりをとうとうと披露します。

ふてくされてるかと思ったが、そんなことはなかった。
にっこり笑うと、
「あぁ、見てたんですか、恥ずかしいです。
わたしああいうとこだとつい必死になっちゃって…」
と笑いながら話してくれたのには驚いた。


(略)


彼女は面白そうに、
「煙草一本くれません?」と言ってきた。
俺「え、あ、吸うんですか?」
「吸わないけど、なんか見てたら…なんか」


この時点で薄々分かってたんだけど、
彼女は天然か変な人かよくワカラン人のいずれかだったw


しかし俺はといえば、大学生活サークルなし、
青春なし、家に帰れば絵かきに身を費やす
という生活を送っていたため、女の子と話すこと事態稀も稀で、舞い上がってた。


俺「じゃ、吸います?wキャスターってんですけど…ちょっと甘いかもですw」
「ありがとございます~!すぅぅ…ゴホ!ゲホ!なにこれ苦しい…」
案の定涙目になっていた。


よろしくないことではあるが、俺はもうその時、
なんなんだこの人すごく面白いし可愛いって気持ちに取り憑かれていた。

自分の趣味を共有してくれて、しかも変に男勝りだったり腐っていたりせず、乙女ちっくな様子と勝ち気な様子をうまくブレンドし萌えポイントを的確に狙い撃ちする―この実に不自然な不思議少女に主人公が惚れてしまうことで、彼らは都合よく付き合い始め、ゲーセンに一人で入り浸るような童貞オタ男子が夢想しながら、しかし現実では決して得ることが出来ないような、いちゃいちゃ文化系カップルライフを満喫します。そして、そこに強引に難病&複雑な家族設定を持ち込むことで、key的なお涙ちょうだい展開にもっていくのです。

これ以上のあらすじは読者の楽しみを削いでしまうので語らずにおきますが、こうしたギャルゲー風のファンタジック()な世界観に、現実に非モテのオタが「彼女がいたらこんなこといっしょにやりたいなぁ」と夢想するようなゲーセンでの二人プレイや「花擬人化ごっこ」といったようなシチュエーションがなんのてらいもなく詰め込まれる面白さは、この物語の大きな、そして独自の魅力の一つになっています。

もちろん、中盤からは難病や家族といった無理やりな盛り上げ設定により物語はクライマックスに向かっていくので、必ずしも甘い砂糖菓子のようなシチュエーションばかりが登場する話というわけではありません。また、登場人物のキャラクターもそれぞれに個性的で、彼らの会話を見ているだけでも、(「アニメばっか見ていて現実の人生経験がない人ってこんな風に現実を記憶しているんだ」ということが分かり)それなりに楽しく読むことができます。こうした多面的な楽しみ方ができるのも、この物語の評価が高い理由の一つだと思われます。

「ゲーセンで出会った不思議な子の話」へのネットの反応

<書籍化の決定>

さて、ネット上でジワジワと話題になった「ゲーセン不思議少女」が今再び盛り上がりを見せているの、やはりこの物語を書いた「富澤」がこの物語がフィクションであることを公開し、twitterでその非凡な才能をいかんなく発揮する寝言ポエムツイートを始めてから。

「ゲーセン」を読み返しているんですが、なんでこんな話が書けたんだろう…自分で言うのもアレですが…

絵描いたり、物書いたり、音楽作ったりの創作活動の何がいいって、終わらない青春が間違いなくそこにあることなんだよね
痛いこと言ってごめん。でも本当にそう思ったんだ
ふと、昔好きだった人の顔が青空に映ったりすることがあるじゃん。老いようが、家庭ができようが、もう二度とその人に会えなかろうが、そういう一瞬があるじゃないですか。創作活動への想いって間違いなくこれと一緒なんだよね。

大手を振って歩けばいいんだよ、人生なんてさ。おめえが正しいと思ったことが、正しいんだよ、きっと。間違ってたらどこかで必ず壁にぶつかる。それさえも乗り越えちまえばいいんだよ。

そしてエンターブレインで書籍化が決定。しかも、そのエンターブレインのニュースサイトで著者のインタビューが公開されるというあからさまな展開に、多くの反応が寄せられました。

現在、twitter上では、インタビュアーの

瞬く間に数千万人が読んだと言われる伝説のスレッド

信じられない……。そんな手法で、あんなキレイな物語が作られたなんて……。

といったような数々の名言や、作者の

じつはこの物語には、モデルとなった人物がいます。医者を目指して勉強している親友がそうなんですが、彼はなかなか受験がうまくいかずに、何度も浪人を重ねているんです。ちょっと前に数年ぶりに会ったんですけど、高校生のときはよく笑う明るい人だったのに、まったく笑わなくなっていて……。聞いたら、「笑いたくても、笑えないんだ」と。驚いて、「大丈夫……?」と言ったんですけど、彼は「医者になるのが夢だから……」とうつろな表情で……。そんな顔を見たら、何も言えないじゃないですか。ずっとがんばっているのを知っているから「がんばれ」とも言えないし、「もう無理しないで」とも言えない。そんな彼を見ているうちに、夢をテーマにした物語を書きたいと思いました。

というような、凡人だったら普通にカウンセラーか病院を薦めておしまいな所で、その経験を自分の物語づくりに利用していく非凡さに、多くの反応が集まっている最中。また、はてなブックマークコメントでも様々な意見が寄せられているようです。

<「ゲーセン不思議少女」論争>

一方、「ゲーセンで出会った不思議な子の話」について発表当初に寄せられた反応のまとめも多くあります。まずはこの作品を絶賛している反応をまとめたまとめサイト。

ユーザーの熱い感動が伝わってくる記事ばかりですね。これらのまとめの多くは、「ゲーセンで出会った不思議な子の話」が話題になりはじめた時期に公開されて、はてなブックマークで多くのユーザーの興味を惹いたものです。
また、「ゲーセンで出会った不思議な子の話」という物語を通じて、様々な問題について考えている人たちもいるようです。そのうちのいくつかを下に採り上げてみました。

この物語の設定が破綻しているという重箱の隅突きから、

  • 「実話という体なのに登場人物の台詞や行動がアニメ臭すぎる」
  • 「ていうかこれ美談じゃないよね。真面目に大学行きなさいよ」
  • 「私がこの女の子の家族だったらこんな話を2ちゃんねるでされるのは嫌だよ」
  • 「彼女が死んだとかいう物語を2ちゃんねるに書いて反応を得ようとするのは、それが現実でもフィクションでもキモい」

というような批判に

  • 「いやいや、これは物語というより>>1のセルフカウンセリングなんだよ。『こんな女の子と付き合いたいよぉ』という満たされない思いを何とか昇華しようとしているのさ」

というような下衆の勘ぐり、更には

  • 事実と銘打ってフィクションを提示するのは許されるのか否か

といった問題や、

という、「なんでや、別にこの物語とフジファブリックそんなに関係ないやろ!」と突っ込みたくなるような問題まで、色々な問題に対して意見が示され、更には「行定勲監督・吹石一恵主演で映画化が決定」と書く悪意ある二次創作まで書かれました。賛否あれど、多くの人がこれだけ熱弁をふるっているというのは、それだけ「ゲーセンで出会った不思議な子の話」が読者の思考を触発してくれる文章である証と言ってよいのではないでしょうか。興味のある方には、「ゲーセンで出会った不思議な子の話」とあわせて、これらの文章もご一読をオススメします。*1

*1:この記事はhttp://b.hatena.ne.jp/articles/201007/1416にインスパイアされました。