togetter.com
というまとめを作成したらid:okome_chan*1から以下の批判を受けまして。
食人鬼マンガから考える「早熟だけど脇が甘い未成年」を大人たちはどう受け止めるべきか問題 - Togetterまとめb.hatena.ne.jpどう受け止めるべきかもクソも、この子に何かしらの問題があるなら周りの大人が直接注意するだろうし、少なくともインターネットの大人がすべきことはこんな「相手のことを考えたフリの叩き記事」を作ることではない
2017/07/20 13:50
どう受け止めるべきかもクソも、この子に何かしらの問題があるなら周りの大人が直接注意するだろうし、少なくともインターネットの大人がすべきことはこんな「相手のことを考えたフリb.hatena.ne.jpid:okome_chan叩き記事にならないように、敢えて直接引用はしてないんですが、それじゃ配慮が足りないでしたかね。じゃあどこまで配慮すればいいの?というのが、このまとめで問題としていることでもあるんですが。
2017/07/20 14:49
どう受け止めるべきかもクソも、この子に何かしらの問題があるなら周りの大人が直接注意するだろうし、少なくともインターネットの大人がすべきことはこんな「相手のことを考えたフリb.hatena.ne.jpid:amamako 高確率で描いた人の目にとまる時点で画像を貼らない意味なんてないのでは?というかツイートであなたは「こんなんは中二病の萌えにすぎない」って話しかしてないわけですけどこれのどこが議論なんですか?
2017/07/20 15:10
id:okome_chan叩き記事にならないように、敢えて直接引用はしてないんですが、それじゃ配慮が足りないでしたかね。じゃあどこまで配慮すればいいの?というのが、このまとめで問題としてb.hatena.ne.jpid:amamako 「叩き記事にならないように」という発言からすると、この記事が叩きにあたるという自覚はあるわけですよね。その上であなたは「この作品は中二病だ、中二病は恥ずかしい」という旨の発言しかしていない。
2017/07/20 15:16
id:amamako 「叩き記事にならないように」という発言からすると、この記事が叩きにあたるという自覚はあるわけですよね。その上であなたは「この作品は中二病だ、中二病は恥ずかしい」b.hatena.ne.jpid:amamako 「この漫画はこうだから中二病だ」という話はしていても、じゃあ中二病の何が問題なのかの根拠が示されていない。私が読み落としてるならここですと示して下さい。(あなたの発言で、です)
2017/07/20 15:25
id:amamako 「この漫画はこうだから中二病だ」という話はしていても、じゃあ中二病の何が問題なのかの根拠が示されていない。私が読み落としてるならここですと示して下さい。(あなたのb.hatena.ne.jpid:amamako また、もしこのまとめが少女やそれに準ずる存在のためのものであるなら、このまとめによって少女やそれに準ずる存在に与えたい「良い影響」があるはずですがどんなものを想定していますか?
2017/07/20 15:36
なるほど確かにあのまとめからだけではこういう批判も受けるよなぁと思ったので、この記事では、じゃあ具体的にぼくが何を問題視してあのまとめを作ったのか、そして現時点でぼくが、「早熟だけど脇が甘い未成年」のWeb上での表現はどのような配慮が必要だと考えているか、スタンスを表明しておきたいと思います。
今回の記事の要約
- 今回作ったまとめの目的は叩きではないが、結果として叩きを誘発させてしまったことは反省点として受け止めたい
- 今回作ったまとめの目的は、「早熟だけど脇が甘い未成年」のWeb上での表現はどのような配慮が、より一般的な議論を促すこと
- ポジティブな言及は面と向かって、ネガティブな言及は対象をぼかしてというのが、一番いいのではないか
なんであのまとめを作ったのか
叩きが目的ではない
まず最初に言っておきたいのは、別に今回話題となっているマンガの作者の表現を叩いたり批判するのを目的に、あのまとめを作ったわけではないということです。
というか、もしそうだったらマンガ自体やそのマンガの作者の発言とかも遠慮なく引用してきてますし、発言だって、あのマンガの内容を厳しく問題視しているtwitter上の論客や、マンガに付いたはてブコメントからコメントを引用してきますね。
ただその一方で、あのまとめが結果として、マンガの作者への叩きを助長する効果を生み出してしまっている、ということについては否定しません。そこは、もうちょっとうまいやり方があったのではないかという反省材料ではあります。
ただ、じゃあ具体的にどうすればいいのかというのは思いつかなかったり……例えばtogetter上には、僕のまとめとは違い、あのマンガをベタに絶賛している発言だけを抜き出したまとめがあったりしますが、それですらコメント欄で、マンガに対する批判意見が噴出してしまっているわけで。僕としては、そういう批判意見を見越した上で「いやそういう批判は重要じゃないんだよ。ただ描きたかったシチュエーションを描いちゃっただけなんだから、キャプションやメッセージを重視して批判するのではなく、生暖く見守ろうよ」という批判への反論を先回りして書いておいて
ちょっと未成年の頃中二病をかじった人間ならわかるじゃないですかー。そんな精一杯背伸びした物申し要素なんて、飾りにすぎなくて、根本にあるのは、しょーもない「残酷な世界の中で生きる少年少女萌え!」でしかないってこと。そこは汲み取って、生暖かい目で見てもバチは当たらないと思うけどなぁ
— あままこ (@amamako) 2017年7月19日
批判をあらかじめ押さえ込もうとしたわけですが、結果としてはそれでもうまく行かず、SNS上での論調のコントロールって難しいなと。
「早熟だけど脇が甘い未成年」を大人たちはどう受け止めるべきか、という問題をみんなで考えたかった
で、あの作品の叩きが目的でないとしたら、じゃあ一体何が目的だったかと言えば、それこそtogetterのタイトルで説明したとおり、「早熟だけど脇が甘い未成年」を大人たちはどう受け止めるべきか、という問題をみんなで考えたかった、ということです。
ですからぶっちゃけ議題にするのは今回言及しているマンガでなくても良かったんですが、しかし事実として、あのマンガを契機に議論が盛り上がった以上、まとめとしてはそれを含まざるをえなかったわけです(もしかしたら、多少まとめとして見にくくなったとしても、マンガに対する言及を含むべきではなかったのかもしれませんが)。
あのマンガに限らず、近年のWeb、特にtwitterなどのSNS上では、以下のような炎上が頻発しています。 *2
しかしこれらの表現が、きちんと自分の表現に対して責任を持てるし、また持たなきゃいけない、成人による表現である限りは、これら炎上はそんなに問題なわけではありません。むしろ、問題提起的な表現を投げかけたんだから、それに対して、批判も含め様々な反応が出るのはむしろ正常な状態と言っていいでしょう。
ただ、もしこういう表現が、未成年によって行われるとなると、話は別になるんじゃないでしょうか。
例えそれが叩きではない正当な批評・批判だとしても*3、「自分の作品が多くの人に否定されてしまった」というのはその未成年の表現者にとって大きなトラウマとなるでしょう。「批判」というものをことさら嫌がる現代の若者においては特にそうです。*4事実、今回話題になった漫画を書いた人もアカウントを閉鎖してしまいました。
もちろんこれに対して、「成年だろうが未成年だろうがネット上では平等に扱われるべき。叩かれてメンタル傷つけるのはその人の自己責任」というマッチョな立場もあるでしょう。かつて未成年のころから色々ネット上で主張していた僕もそのような立場でした。
ただ、色々経験してきて思うことは、いくら未成年が自己決定権とかを振りかざして、一人前の大人として扱ってくれと主張しても、大人には「子どもを保護する責任」があり、その未成年の将来にとって害になってしまうこと(例えばインターネット上で傷ついてメンタルが不安定になったり、ネットにのめりこんで、勉学や友達付き合いといった、リアルでの活動がおろそかになったり)は、例え当人がそれを望んでいたとしても避けさせなければならないのではないかということなのです。
さらに言えば、昔のはてなのように精々数百人ぐらいで議論していた時代ならいざしれず、今は一旦twitter上とかで炎上し始めれば、数万単位で批判意見とかが殺到するわけです。それを未成年に一手に引き受けさせるっていうのは、流石に酷に思えてならないのです。
では、どうすればそういう、(かつて自分がそうだったような)「早熟だけど脇が甘い未成年」が、インターネット上で傷を負わず、健やかに成長できる環境を、大人たちが作れるのか、それが、このまとめで議論したかったことなのです。そして、そういう議論を行って、未成年が健やかに成長できる環境を作ることは、回り回って、少女やそれに準ずる存在に与えたい「良い影響」になるのではないかと、考えているのです。
「早熟だけど脇が甘い未成年」のWeb上での表現はどのような配慮が必要か
何も言及しない
まず、最も簡単な配慮として考えられるのが、「何も言及しない」という選択肢です。未成年が何か表現をしても、それは未成年のすることなんだから、大人は相手にしないと、そういう選択肢です。
個人としてこういうスタンスを取ること自体は否定しないです。特に、未成年者自身が「私の作品はこういうスタンスで接してほしい」と言うのなら。が、これを他人に推奨したり、自分自身のスタンスとして取り入れる気にはなれません。問題提起として表現をなげ掛けてきたのに、それに対して何も反応しないということを、未成年者当人が望んでいるとは考えられませんし、大部分の人は、何か心を揺さぶられる表現を見たら、それに対して言及したがります。
第一、もし一切何も言及されたくないのなら、わざわざインターネット上で全体公開せずに、クローズドなSNSとか、それこそ自分のノートとかに書き留めておけばいいわけで、そこをわざわざインターネットで全体公開するなら、やはりそこではある程度、他者から言及されることを望んでいると考えられるでしょう。
(最近の若者はクローズドな環境とオープンな環境の区別がついていない、という話もありますが、もしそうならそれは、「クローズドな環境でしか、全世界に知られて困る話はしない」という、ITリテラシーの基礎を地道に教えていく、という結論にしかならない気がします。)
ポジティブな言及しかしない
次に考えられる配慮として考えられるのが、「ポジティブな言及しかしない」という選択肢です。未成年者の表現に対してはネガティブな言及はせず、とにかく褒めて褒めて褒めまくれというわけです。
これは、一見最適解に思えます。もしこれがインターネット全体で可能ならば、そうすべきでしょう。
しかしこれは実質的には不可能です。なぜなら、どんな表現であっても、それを良いと思う人も居れば、悪いと思う人も居るわけです。そこで、「良いと思う人」ばかりが発言し、その言及がネット上を席巻すれば、当然それに「悪いと思う人」は反発するからです。ポジティブな言及ばかりであることは、ネガティブな言及の呼び水となってしまうのです。
これは、今回話題となったマンガに対しての言及においても起こったことです。実際、ネット上での今回のマンガの流れを見てみると、最初はこのマンガを絶賛する、ポジティブな意見ばかりでした。しかしそうやってポジティブな言及ばかりがネット上で拡散されていくと、それに対して批判的な意見を持つ人が出てきます。実際、このマンガに対する批判を見ると、初期の批判はその殆どが、このマンガ自体を批判するものでなく、このマンガを賞賛する意見への批判として、なされています。
このような現象は、一つのtogetterまとめ内に限定しても観察できます。togetter上で今回のマンガについて調べると、僕が作ったまとめとはまた別に、マンガに対する賞賛意見ばかりを集めたtogetterが見つかるでしょう(そのまとめはこのマンガを直接引用して言及しているので、僕の記事からはリンクは貼りません)。しかしそのtogetterのコメント欄を見ると、「むちゃくちゃ絶賛されてるけど、自分はこのマンガそんなに良いとは思えない」という風に、見事にマンガに対する批判意見ばかりが書き込まれているのです。このことからも、ポジティブな言及ばかりを行うことは、むしろネガティブな言及を喚起してしまうのです。
ポジティブな言及は面と向かって、ネガティブな言及は対象をぼかして
じゃあどうすればいいか、ここで僕が提案するのは
ポジティブな言及は面と向かって、ネガティブな言及は対象をぼかして
という配慮の方法です。今回の言及の仕方でも、これが採用されているということは、今まで記事を読んでいただいた方なら、分かると思います。
具体的に言うなら、ポジティブな言及をする場合は直接リプライを飛ばして言及する。「これはネガティブな言及と受け取られそうだなー」と思った場合は、直接リプライしたり、個人名を挙げて言及するのではなく、対象をぼかしてそれとなく言及する、という方法です。
この方法の利点は、まず何と言っても、未成年者が能動的に自らに対する言及を探しにいかない限りは、ポジティブな言及ばかりを受け取れるという点にあります。リプライばかりを見てれば、批判や否定・叩きに怯えて心を病むこともないというのは、何より大きなことです。
そして、この方法ではネガティブな言及をすること自体は否定されませんから、ネガティブな言及をしたい人も満足させますし、ちょっと調べれば賛否両論が既に行われていることがわかりますから、先に述べたような「ポジティブな言及ばかりだから俺がネガティブな言及をしてやろう」というネガティブな言及への呼び水効果も抑えられます。
そして、この方法が何より良いのは、ネガティブな言及に接するか接しないかが、未成年者当人の判断に委ねられているということです。受動的に言及を受け止める限りは、ポジティブな言及しか目に入りませんが、ちょっと能動的にエゴサーチを行えば、ネガティブな言及も目に入る。しかしそれも、能動的なエゴサーチをやめてしまえば目には入らなくなり、再びポジティブな言及ばかりの世界に戻れる。
未成年者は、いつまでも未成年者であるわけではありません、いつかは大人となり、ポジティブな言及・ネガティブな言及両方に真っ向から晒される、そんなWeb空間に放り出されるのです。そこで過度なショックを受けないためにも、適度な範囲でのネガティブな言及というのは、元々そんなに悪いわけではないはずなのです。そこで「適度な範囲」に、ネガティブな言及を摂取するのを抑える知恵が、この方法にはあるのです。「ネガティブな言及も知りたいなー」と思うなら、より能動的にエゴサーチをする。しかし、そこでネガティブな言及を摂取しすぎて、心が病みそうになるなら、エゴサーチをやめる。そのようにして、ネガティブな言及を適度に摂取することが、この方法なら可能となるのです。
もちろん、この方法にも欠点はあります。ネガティブな言及を摂取する量は、あくまで未成年者の自己判断になってしまいますが、そもそもネガティブな言及の適切な摂取量というのを当人が把握できるかという問題があります。「ネガティブな言及を見るとイライラする。でもネガティブな言及を探すことをやめられない」というアディクションはよくあること*5ですし、その反対に、「ネガティブな言及は別に見なくていいの?じゃあ一切見ない」というふうにして、成長の機会を奪ってしまうこともあるかもしれません。
しかしそのような欠点を考えても、この配慮の方法が最もベターではないかと、僕は考えるのですが、皆様は、どうお考えになるでしょうか?
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*2:例: white-cat-tennis.xyz togetter.com togetter.com nlab.itmedia.co.jp www.comico.jp twitter.com
*3:そもそも「叩き」と「正当な批判・批評」をどうやって区別するの?という根本的な疑問はありますが、それは置いておきます
*4:参照:togetter.com