あままこのブログ

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「天気の子」を見に行ってきて、おもいだしたこと(ネタバレ無し感想)

「天気の子」、公開初日の午前9時から見に行ってきました。

https://www.instagram.com/p/B0FMcvsg_nc/

というわけで『天気の子』見終わったー!百点満点中一億兆点!出来れば梅雨のうちに見て!


はい、もう声を大にして言いたい。今を生きる人間なら、絶対これはリアルタイムで見に行くべきだ!と。


なぜ見に行くべきか?これは、「あなたのための映画」だからです。

 

前作の「君の名は」は、「みんなのための映画」でした。あの震災を経験したみんなが、漠然と思っていた「世界はこうあってほしい」と、エンターテイメントを求める中で、それに見事答えた作品です。つまり、万人が共通して持っている要素に働きかける作品だったんだと、僕は思っています。

しかしそれに対し、今回の「天気の子」は、決して万人に受け入れられる、そんな作品ではないです。しかし、少なくとも、このブログに辿り着いた人なら、それがどういう形であれ、「刺さる」部分を持つ、そんな尖った作品になっています。

もちろん、具体的にどういう部分が刺さるのかというのは、ネタバレになってしまうので詳しくは言えません。ですが、例えばこの予告編


映画『天気の子』スペシャル予報


この予告編をみて、「そうそうこれが新海誠なんだよ。だから新海誠が好きだ」と思う人、あるいは、「こんな作品ばっかだよな新海誠は。だから新海誠は嫌いなんだ」、そういう人は、まさしく今回の作品を見て、今の新海誠が、過去を礎にどう人々にメッセージを送ろうとしているのか、そして自分はそれをどう受け取るのか、確かめるべきです。
あるいは、新海誠に全然思い入れが無かったとしても、思春期をくぐり抜けたり、今思春期真っ最中という人には、ぜひ見てもらいたいです。
更には、年齢とか関係なくこの社会に息苦しさを感じてる、そんな人にも見てもらいたいし、あるいは逆に、今の社会万歳!と思っている人にも、この作品の問いかけを聞いてほしいと思います。


とにかく、もしあなたが、「物語」というものに、人の心を揺り動かす力があると信じていたり、揺り動かされる人間ならば、断言しましょう、この「天気の子」という映画は「あなたのための映画」なのです。


では、「天気の声」のどういう部分が僕に刺さったのか、ネタバレにならないように、敢えて「天気の子」の作品のあらすじには一切触れない形で、語ってみましょう。


 「天気の子」を見に行ってきて、おもいだしたこと

「天気の子」を見に行ってきて、僕は、中学・高校の頃を思い出したんですね。なぜか?答えは単純で、「天気の子」の主人公の男の子が行く新宿のマクドナルド、あそこに僕もよく行っていたからです。
その頃の僕は、東京から新幹線で一時間半ぐらいのところにある地方暮らしでした。島ぐらしだった主人公の男の子よりは恵まれた環境だったかもしれませんが、それでも、地方の中高生がだいたいそうであるように、僕も、地方での生活に息苦しさを感じる日々でした。それで、長期休暇にはよく、宿のあてもなく東京に飛び出てきて、それこそネカフェやマクドで一週間ぐらい寝泊まりする、そんなことをやっていました。
東京に出れば何かが自分のこの息苦しさを振り払う出来事が起きるだろう、そんな期待もちょこっとありました。もちろん、そんな期待は成就することはなかったわけですが。


ただ、そんな中で、東京にいるということをネットでつぶやいたりすると、時たまネットの向こう側から「じゃあ会わない?」みたいな声がかかることがあります。今考えれば、そんな怪しい誘いに乗るなんて危険なことよくやっていたと思いますし、事実、トラブルもまあまあありました。

ただ、それでも会いに行くと、そこでは様々な人に出会いました。同年代の人と会うこともあれば、全然年下だったり年上だったりする人と会うこともあります。ただ、その全てに共通して言えるのは、大体「まともじゃない、社会から外れちゃった人」ということです。未成年だろうがタバコやアルコールはみんなほぼやってましたし、学校や会社にまともに行ってなかったり、行ってたとしても、そこでの暮らしは「擬態」なんだと言い切っていたり、はては、このご時世に暴力革命の夢を見る運動家だったり……彼らには、「今の社会のために自分を犠牲にする」という考えがはなからありませんでした。彼らの生活の様子をネット上にアップすれば、それだけで炎上しそうな人たちです。社会が何だ、俺/私はやりたいようにやりますよ、そんな人たちだったのです。しかし、そんな「社会から外れちゃった人」の間にいると、不思議と息苦しさが、なくなったのです。

……しかし、そんな思春期はやがて過ぎ去り、ぼくは、一応年齢的には大人、というかおじさんの年齢になりました。当時の付き合いで、今も続いているものは殆どありません。時折、風のうわさで、お彼岸に行ってしまった人が出たことを聞くぐらいです。

 

そして、息苦しさは今なお消えません。ただ、年をとって、その息苦しさをうまくやり過ごすすべは身につけました。「誰も一人で生きてなんかいない。みんなで助け合って生きているんだ」とか言ったり、「誰かが犠牲にならなきゃいけないんだ」と諦めてみたり。幸い、世間の物語で、そういうメッセージを助けてくれるものは山程あります。まさしく、「大人のための、ビターな物語」というやつです。5人を救うために1人を殺すポイント切り替え。

 

……「天気の子」は、そんな今の僕と、そんな今の僕をきっと蔑んでる、あの頃の僕への物語なんだと、僕は勝手に、思い込んでいるのです。

おまけ

増補改訂 アースダイバー

増補改訂 アースダイバー

 

 新海誠氏がツイッターでこの本が陳列されている本棚の写真をアップしていましたが、「天気の子」を見る人で、人文系の本に抵抗がない人は、見る前でも見たあとでもいいんで、この本読むと、「あーそういうことか!」とわかることが多々あると思います。詳しくは、これもネタバレになっちゃうので言えませんが……