企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなる程情報化されていない近未来
ふと思う、なんでこんなことになっちゃったのかなぁと。
そりゃさ、多少は僕らも調子に乗ってたんだと思う。オリコンチャートでアニソン一位にして、avexだののJ-POPをコケにしてやりたいとか、24時間マラソンや27時間ゴミ拾いを邪魔して、ネットを馬鹿にするテレビの鼻を明かしてやろうとか。
でも、じゃあ僕らが結局何をしたかったかといえば、そんな外のことは本来どうでも良くて、多分ネットの仲間たちでつるんで、わいわいくだらないことやりたかっただけだと思うんだよな。社会を変えようとか、どうでもよくて、半径1クリックぐらいの内輪で盛り上がれればそれで良かったはず。ネットの外も、所詮ネットなんてその程度のお遊びだと考えていたし、中の住人だった僕らも、それで満足してたはず。
でも今、僕らはなんか、悪い奴らから日本とか表現の自由とかそんなものを守る聖戦士のように言われたり、あるいは、民主主義を破壊する悪の権化のように言われたりする。僕らが戯れにつぶやくネタがフェイクニュースとして世界中を駆け巡り、どこかの国の大統領を決めたり、戦争や革命を起こしたりしちゃうわけだ。
いや別に、そのことに関して責任逃れしたいわけじゃないんだ。「そんなつもりじゃなかったんだ。マジになるなよ」とか、実際にマジに受け取られるんだから、それはそれで、真摯に、受け止めなきゃならないんだろうと、思う。
ただ、思うのだ。「なんでこんなことになっちゃったかなぁ」と。
昔、「ネットの俺らが世界を変えるんだ」なんていう声を言う奴らは、こんなカバ夫のAAで嘲笑されていた。
ところが今や誰も彼もがみんなカバ夫くんみたいになっている。風、確かに吹いている。あるときは左から右に。また別のときは下から上に。
昔僕らは、僕らがやることで世界が簡単に変わってしまうような物語を「セカイ系」とか言って揶揄していた。そりゃそうだ。世界なんて、そんな簡単に変わるはずはなかったんだから。ライ麦畑でぎゃーぎゃー騒いでも、やがて僕らはそこを卒業し、社会に帰っていくもんだと思ってた。
とこらが今は、もう世界がぐるんぐるん変わってしまう。クリックひとつで県を挙げたイベントを中止にもできるし、そのうち戦争までできそうじゃないの。一体どうしちゃったのこの世界は。
「遊びの時間はもう終わったんだよ少年」ということなのかもしれない。でも、遊ぶことしか知らない僕たちは、一体これからどうすればいいと、言うんだろう。